徒然乙女

30代アメリカ駐在女子の徒然なる日常

ドキュメンタリー映画「華氏119」再視聴レビュー

大衆の興味はコロナにもっていかれてはいるが、2020と言えばアメリカ大統領選挙。今年はせっかくアメリカに住んでもいるし、個人的な注目度合いが違う。

※私はresident alien(国籍のない住民)のため選挙権はございません。

 

ということでドキュメンタリーの巨匠、マイケルムーア監督(反トランプ派)の、「華氏119」を再視聴したので、レビューを。

華氏119 - 作品 - Yahoo!映画

 

過去作、「華氏911」タイトルを引用することで、テロほどの危機だということを表しているのだと(私は)思う。単純に韻踏んだだけかも知れないけど。

どのようにしてトランプが大統領になってしまったか、なってからどんな問題が起こっているかを詳しく解説。マイケルムーア監督は、トランプ大統領が大統領になるずっと前からアンチトランプで、絶対彼だけは大統領にするなといろいろなところで発言してきたけど、この映画の中ではトランプだけをひたすらに批判するのではなく、アメリカの奴隷時代から同じで、今の時代に沿ってない選挙システムのせいでアメリカのデモクラシーが腐敗していることや、国の上層部が上手い言葉(Compromise)で逃げてきたツケが回ってきていることなど、多方面から焦点を当てている。当時、トランプの相手がバーニー・サンダースだったら今とは違うアメリカがあったのかな。バーニー・サンダースといえばつい先日予備選から撤退。私から見ても、ちょっとおじいちゃんすぎるよな~と。。ほんとタイミングだよね。

 

そしてフリントの水質汚染問題、こんな恐ろしいことが世界を牽引するアメリカで、数年以内に起こったことがまた恐ろしい…

これは人ごとじゃない。日本の民主主義も腐敗気味。水道もどんどん民営化しているし、怖い。

個人的には、正直政治にはそんなに興味がないのだけど、アメリカでは、そのせいで大切な人が死ぬかもしれない。これではいけないと危機感を煽る。日本と違って銃が規制できてないことや軍隊が自衛隊じゃないという背景もあるが、同じような問題は日本でも起こるかも知れない。

最後の方は、これじゃいけないと立ち上がる人達のことも描かれていて、警鐘を鳴らしながら少しの希望も感じる映画です。

ところで、マイケルムーア監督の情報の繋げ方、歴史との比較、ユーモアの交え方、すごい!下手なフィクション映画よりずっと面白い。

 

「アメリカンドリーム」と言う言葉の持つイメージが先行してアジアからは憧れの対象になることが多いアメリカだけれど、この映画を見ると、貧富の差や差別が大きな問題になっていることを少しだけ感じることができる。実は土台がもろくて見方を変えるとまるで発展途上国かのように見える部分があったり。

 

アメリカではセレブが政治について発言することが多くて、それは本人にとって結構なリスクでもあると思うけど、国全体としては政治が活発になっていいよね。みんなちゃんと選挙に行くし。日本ではだれかがそんな発言をしたらすぐ炎上しちゃうし、やっぱり発言の自由さ加減はアメリカの圧倒的勝利。他人の発言を否定しない文化、自由の国であるが所以。有名なスピーチだけど、第74回ゴールデングローブ賞の授賞式でのMeryl Streepのスピーチは、本っ当にかっこよかった。あれを聞いて以来、彼女のスピーチライターの存在に興味がありまくり。

 

今、まさにアメリカでは、ミネソタ州ミネアポリスでアフリカ系アメリカンが白人に首を押さえつけられて殺されてしまった件で黒人差別や政治問題が今まで以上に浮き彫りになっている。差別の代名詞のようなトランプに影響がないとは言えないと思うけど、、、。このデモが今までにアメリカが経験したものとどう違うのか、注目です。